洗礼

人生初トレイルは、山の女神様からそっぽを向かれてしまったようです。


初めの試練

登山道には先頭で突入。

今まで経験の無いような激登りだったが、他の有力選手に引けを取っていない。

しかし激登りのあとは激下り。

皆当然のように下っていく。というより、ここは走れる場所なのか?

ってくらいきつく怖い。特に階段とか。

スピードが自然と出るが不整地の上、全て急カーブ。

常にブレーキをかけながらのダウンヒル。前とはどんどん離されていく。

ブレーキで使ってしまった足は、次の登りセクションではすでに棒。

登りで追いつかなくてはどうにもならないので、動かない足に鞭打って登る登る登る。

そのときは前の選手を追うことばかり考えており、忍び寄る異変に気づいていませんでした。



第二の試練

異変に気が付いたのはスタート後2時間がたつ頃でした。

一度下りで転倒。その後なんだか体がふらふらする。

あ、エネルギー切れだと思ったときには時すでに遅し。

持っていた補給食を全部体に入れるが効果は薄い。

水も持っているだけ飲んでしまい、空っぽ。

前夜の仲間の忠告にきちんと対処しておけば良かった。

走る気力も体力も残っておらず、しばらく歩いていると徐々に良くなってきた模様。

コースも緩くなってきたので、ここから猛チャージ!と思い走り出す。

比較的走りやすい所で何人かパスし、入賞圏内をキープと思っていた矢先にまたふらふら。

今度は酷かった。補給もない、水もない、力も出ない。

そして最後の登山道エリア。

もう進む気力もなく、ふらふら登っていると、見慣れた同じ赤いTシャツの選手が

彗星の如く登ってきます。

チームメイトのヒロユキ君でした。彼に食べ物を頂き(神の味がしました)その後も歩き続ける。

あとで聞いたところ、彼もその後ガス欠になってしまったそう。申し訳ないことをしました。

でも本当に助かりました。ありがとう。

その後も抜かれていく選手に声をかけてもらい、食料をもらいつつ下山。

途中凄い景色だったのでしょうけど見てる余裕なし。

思うことと言えば食べ物の事と残りの距離の事。

今自分がどこにいて何をしているのかすら分からなくなっていました。


その後なんとか、本当になんとかゴールにたどり着き、私の初トレイルが

5時間近くかけて終了しました。

トップ選手は3時間半だそう。後半ほとんど歩いていたからなぁ。

ゴール後メーカーブースに帰ったところ、皆さん待っていてくれたようで。

初レースで戦慄のデビューと目論んでいたのですが、別の意味での戦慄デビュー。

でも存在感は出せたのかな?


こうして赤い彗星を目指してスタートしたものの、

ネタの彗星となり桜咲き誇る春の新城を後に一人帰路についたのでした。



帰りは渋滞。